サン・フレンチェスコ・ダッシジ教会 San Francesco d'Assisi


ヴィットリオ・エマヌエーレ大通りから旧市街に少し入ったところに、ロマネスク様式のサン・フランチェスコ・ダッシジ教会がひっそりと建っています。

托鉢修道会の修道士たちが最初にパレルモにやってきたのは、まだアッシジのフランチェスコ本人が存命中の1210年代のことでした。しかし、修道士たちがその説教の中で当地の有力な聖職者たちの特権を批判したため彼らに嫌悪された結果、1235年には修道院が破壊されてしまい、修道士たちは一旦シチリアを離れざるを得ませんでした。
その後、ローマ法王の後押しでパレルモに戻ってきますが、再建された修道院も、今度は法王庁と対立するシチリア王フェデリーコ2世によって再び破壊の憂き目に遭います。
フェデリーコ2世の死後、再びシチリアに戻ってきたフランチェスコ会士たちは、その後ようやく力を得るようになります。

教会は1255年から1277年の間に建築され、15世紀から16世紀にかけて何度も増改築が行われました。1633年のノヴェッリとジェラルド・アストリーノによるスタッコ細工やフレスコ画、1723年のジャコモ・セルポッタによる荘厳な聖処女マリア礼拝堂のスタッコ細工によって教会内部の装飾が出来上がります。

その後、1823年の大地震の被害、1943年の爆撃による被害など、天災や人災にも遭いますが、そのたびに修復され、13世紀の創建当時の外観がすっかり蘇っています。

   

教会内部は三廊式。左右の側廊にはゴシックとルネサンス様式の礼拝堂が並んでいます。

中央身廊には1723年にジャコモ・セルポッタが製作した「敬虔」「信仰」「従順」「謙遜」「神学」「慈愛」「真理」「剛毅」の寓意像があります。

 
木製の船底天井も質素倹約を旨としたフランチェスコ会の教会らしい印象を与えます。
 

 

 

主祭壇右横にある聖処女マリア礼拝堂。正面には18世紀末のヴィート・ダンナによる「聖処女マリア」の絵画、壁面には18世紀初頭のジャンバッティスタ・ラグーザによるシチリアの諸聖人たちの彫刻が飾られています。 

 

 

多色大理石と彫刻の装飾のアップ。過剰なまでにデコラティヴで繊細なデザインは、パレルモに現存する装飾の中でも最も貴重なもののひとつです。
   
人目につかずひっそりとしていますが、バラ窓と正面扉の繊細な彫刻が見事なロマネスク様式のファサード、開口部の広い連続アーチで区切られた身廊、華麗な装飾にあふれた聖処女マリア礼拝堂、そして頑丈な角柱を背にした表情豊かなセルポッタの寓意像など、見所満載の教会です。